甲状腺について

甲状腺甲状腺は前頚部(のどぼとけの下)にあって、蝶が羽を広げたような形をしています。重さは10-15gで体の中で最大の内分泌臓器です。正常の甲状腺は外か らは触れません。手に触れる場合や、見てはっきりわかるほど甲状腺が大きく腫れている場合は何らかの異常がおきていることが考えられます。
甲状腺疾患(目次)

甲状腺の働き

甲状腺刺激ホルモン(TSH/FT3、FT4)甲状腺は脳下垂体からの命令(甲状腺刺激ホルモン=TSH)を受け、ヨードを材料として甲状腺ホルモン(T3, T4)を作る工場とそれを蓄える倉庫が一緒になった構造をしています。甲状腺ホルモンが足りないときにはホルモンを作るように脳下垂体からの命令が多くなり、余っているときには命令が少なくなるようにできていて、甲状腺ホルモンが適量であるようなシステムになっています。
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甲状腺の病気

甲状腺の病気には、甲状腺の「働き」の変化と「形」の変化という2つの特徴があります。病気によってその両方の変化が現れたり、あるいはどちらか一方だけが現れたりします。

甲状腺の働きの異常

甲状腺ホルモンが多すぎる状態甲状腺ホルモンが多すぎる状態(刺激/TSHレセプター抗体)

  • 甲状腺でホルモンが無秩序に作られる状態
    バセドウ病、機能性腺腫 など
  • 甲状腺に炎症がおき、蓄えられていたホルモンが漏れ出てくる状態
    亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎 など

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バセドウ病

病態

何らかの原因で体の中に甲状腺刺激ホルモン(TSH)と同じように甲状腺を刺激してホルモンを作らせる自己抗体ができ、無秩序に甲状腺ホルモンが作られる状態です。妊娠可能な若い女性に多い病気です。

症状

動悸、眼球突出、甲状腺腫の症状が有名ですが、その他に息切れ、多汗、暑がり、脂ぎった肌、手の震え、イライラ、疲れやすい、食欲亢進、体重減少、月経減少、下痢などがあります。
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バセドウ病眼症

バセドウ病というと眼が出てくる病気だということはよく知られています。軽度のものも含めるとバセドウ病の患者さんの40%前後に何らかの眼の症状がみられます。なぜ眼が出てくるかというと、甲状腺を刺激する自己抗体が眼の後にある眼を動かすための筋肉や脂肪組織に炎症を起こした結果、筋肉や脂肪の腫れ・ むくみが生じ、眼球が前に押されて出てくるという説などが考えられています。

症状

眼の充血、眼痛、ものが二重に見える、まぶたが腫れてくる、視力が落ちるなどがあり、重症になると失明の危険もあります。両眼に起きることが多いですが、片方の眼だけに起きることもあります。またバセドウ病と眼症は必ずしも同時に起きるとは限りませんし、バセドウ病が良くなり寛解状態になっても眼の 症状が良くなるとは限りません。タバコが眼症の発症や悪化に影響しているといわれていますので眼症の患者さんは禁煙したほうがよいです。
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機能性腺腫 プランマー病

甲状腺にできた腺腫が甲状腺ホルモンを勝手に作っている病態です。この病気を初めて報告した人の名前をとってプランマー病とも呼ばれています。甲状腺ホルモン値が高くなると動悸、息切れ、手の震えなどの甲状腺機能亢進症状がみられます。甲状腺シンチグラムで腫瘍への強い集積を認めることが診断の決め手になります。

治療

手術またはアイソトープ治療をお勧めします。

無痛性甲状腺炎

甲状腺に何らかの原因で痛みを伴わない炎症が起きた病態です。蓄えられていた甲状腺ホルモンが溢れてきますのでFT3, FT4が高値になり、動悸、息切れ、手の震えなどの甲状腺機能亢進症状がみられます。 TSHも抑制されていますので、バセドウ病と似た検査所見になりますが鑑別方法はTSHレセプター抗体や甲状腺刺激抗体が陰性であること、甲状腺ヨード摂取率が低値であることです。
この病気の患者さんには背景にほぼ100%橋本病があるといわれています。出産後にも多くみられますが、出産と関係なくみられることもあります。もちろん男性にもみられます。時間が経てばホルモン値は自然に正常化しますので機能亢進症状が強くなければ治療は不要です。再発することがあり、とくに出産後に高頻度にみられます。

亜急性甲状腺炎

甲状腺にウイルス感染が原因と考えられる炎症が起きた病態で、発熱と甲状腺の腫れ・痛みがみられます。名前は似ていますが慢性甲状腺炎(橋本病)とは全く別の病気です。炎症の広がりとともに甲状腺の腫れ・痛みも移動します。

検査

CRPや赤沈などの炎症反応が陽性で、蓄えられていた甲状腺ホルモンが溢れてきますのでFT3, FT4が高値になり、TSHは抑制されます。

治療

炎症を抑える薬を飲みます。無痛性甲状腺炎とちがって再発することは稀です。

橋本病(慢性甲状腺炎)

病態

何らかの原因で体の中に甲状腺を攻撃する自己抗体ができ、甲状腺に慢性の炎症が起きている状態です。九州大学の橋本策先生が1912年に世界で最初に報告 されたのでこの名前があります。日本人の名前が付いた数少ない病気のうちの一つです。中年女性の10-20人に1人にこの病気があるといわれています。

症状

慢性の炎症があっても甲状腺が腫れるくらいで、ほとんどの場合で甲状腺機能は正常に保たれており、無症状です。炎症が進んで甲状腺機能が低下し、ホルモン が作られなくなると、気力がない、顔や手のむくみ、皮膚乾燥、寒がり、体重増加などの甲状腺機能低下症状が出てきます。むくみが声帯や脳におきると声のか すれ、物忘れなどの原因にもなります。また血液中のコレステロール値が高くなりますので動脈硬化がおこりやすくなります。
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