自分らしい選択のために
遺伝カウンセリングをご活用ください。

2008年12月、相良病院は九州の医療機関で初めて、乳がん・卵巣がんの「遺伝相談外来」を開設しました。「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」の可能性を正しく診断するには、専任の医師による診察と遺伝カウンセリングが必要です。

当院の遺伝相談外来では、専任の医師による遺伝カウンセリングとともに、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の遺伝学的検査を行います。増え続ける乳がん・卵巣がんの予防と、早期発見・早期治療の契機となるよう、積極的な情報提供と診療に努めてまいります。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)とは?

近年、ヒト遺伝子医学の急速な発展とともに、がんをはじめとするさまざまな病気と遺伝子の関わりが明らかになってきました。最近では、がん組織・がん細胞そのものは遺伝しませんが、がんになりやすい体質(遺伝的要因)が遺伝するケースがあることも判明しています。
乳がん・卵巣がんも、患者さんの5~10%程度は遺伝的な要因が強く影響して発症していると考えられています。これを「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」と呼んでいます。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の可能性について

母方、父方それぞれの家系について、あなた自身を含めたご家族の中で、下記のいずれかに当てはまる方がいらっしゃれば、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性が一般よりも高いと考えられます。

  • 45歳以下で乳がんと診断された方
  • 60歳以下でトリプルネガティブ乳がんと診断された方
  • 両側の乳がんと診断された方
  • 片方の乳房に複数回、乳がん(原発性)を診断された方
  • 男性で乳がんと診断された方
  • 卵巣がん・卵管がん・腹膜がんと診断された方
  • ご自身が乳がんと診断され、血縁者※に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる方
  • ご家族の中にBRCA遺伝子変異が確認された方がいる方


  • 血縁者の範囲
    父母、兄弟姉妹、異母・異父の兄弟姉妹、子ども、おい・めい、父方あるいは母方のおじ・おば・祖父・祖母、大おじ・大おば、いとこ、孫など

上記に当てはまらなくても、医師の判断により遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の可能性が考えられることがあります。また既往歴や家族歴によって、HBOC以外の「遺伝性のがん」の可能性が考慮される場合もあります。

遺伝カウンセリングについて

当院では、専任の医師や認定遺伝カウンセラー、専任の看護師が患者さんご本人やご家族の状況をお伺いし、医学的な情報を分かりやすくお伝えいたします。さらに病気や遺伝に関する情報、予防や早期発見・早期治療などの医療や社会的なサポートについても詳しくご説明いたします。

患者さんご自身のご希望があれば、遺伝性乳がん卵巣がん症候群の遺伝学的検査も行います。

プライバシーには十分配慮いたしますので、遺伝に関する不安、心配ごとなどを遠慮なくお話ください。


費用



遺伝カウンセリング料 初回 11,000円(税込)
2回目以降 5,500円(税込)
  • 上記は自費診療の場合の料金です。
  • 一部保険診療が可能です。
  • カウンセリングは1時間程度を予定しております。
  • 遺伝学的検査を受けられる場合は、別途費用がかかります。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の遺伝学的検査について

2020年4月より一部保険診療での遺伝カウンセリングや遺伝学的検査が可能になりました。

遺伝性のがんの可能性が考慮される場合、その原因となっている遺伝子に変異があるかどうかを調べる検査を「遺伝学的検査」と言います。遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の遺伝学的検査では、BRCA1/BRCA2遺伝子のみを調べます。

BRCA1/BRCA2遺伝子の検査を行うことで、乳がんの術式(部分切除/全摘)や治療薬の適切な選択を可能にしたり、ご本人やご家族の健康管理に有益な情報を得られる場合があります。

検査は採血によって行われ、血液中の白血球からDNAを取り出し、BRCA1/BRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べます。初めての検査の場合は、約1ヶ月後に検査結果が分かります。


遺伝についてあなたに知ってほしいこと(PDF)

遺伝についてあなたに知ってほしいこと

遺伝学的検査の対象者

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の遺伝学的検査は、対象者別に次の2つに分けられます。

  1. すでに乳がんあるいは卵巣がんを発症している方で、遺伝性乳癌の可能性がある方
  2. ご家族(血縁者)のどなたかがBRCA1/BRCA2遺伝学的検査を受けて、変異が見つかっている場合

遺伝カウンセリングで扱われる内容は、遺伝学的検査に限定されるものではありません。
専任の医師や認定遺伝カウンセラー、専任の看護師は、あなたの意思と行動を支援いたしますが、遺伝学的検査を受けるようにと強要することは決してありません。
遺伝性乳がん卵巣がん症候群について、もっと知りたいという方もお気軽にご相談ください。

リスク低減乳房切除術および両側卵管卵巣摘出術

2020年8月より一部保険診療でのリスク低減乳房切除術が可能になりました。

当院では、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の方に対するリスク低減乳房切除術及び両側卵管卵巣摘出術が可能です。
将来にわたって後悔のない選択ができるように、専任の医師や認定遺伝カウンセラー、専任の看護師がサポートいたします。まずはご相談ください。

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断された方のための検診

遺伝学的検査で遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された方は、若年層でも乳がん発症リスクがあるため、25歳から定期的な検査を開始します。またマンモグラフィや超音波検査に加えて、より感度の高い乳房造影MRI検査を行うことが推奨されています。

乳がんまたは卵巣がんを発症したことがあり、かつ遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断された方(既発症者)の検診としての乳房造影MRI検査やリスク低減手術(乳房切除術や卵管卵巣摘出術)は保険適応です。

一方、乳がんまたは卵巣がんを発症していない方の遺伝学的検査、検診、リスク低減手術は自費診療になります。そこで、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断された未発症の方に継続的に受診していただけるように、料金を抑えた個別化検診コースを設けました。

遺伝相談外来では、個別に検査項目を組み合わせ、重点的かつ継続的に検診を行うことで、がんの早期発見と早期治療につなげるよう取り組んでいます。

個別化検診コース

◇コースA

年間料金:29,700円(税込)



血液検査 乳がんや卵巣がんに関連した腫瘍マーカーを測定 2回/年
乳腺科受診 マンモグラフィ 石灰化を特徴とした乳がんの早期発見 1回/年
乳房超音波検査 腫瘤を形成する乳がんや良性疾患の鑑別 2回/年
婦人科受診 経膣超音波検査 卵巣や子宮内膜の形態的変化の早期発見 2回/年
乳房MRI検査 造影される微小な病変の早期発見 1回/年

◇コースB

年間料金:99,000円(税込)



血液検査 乳がんや卵巣がんに関連した腫瘍マーカーを測定 2回/年
乳腺科受診 マンモグラフィ 石灰化を特徴とした乳がんの早期発見 1回/年
乳房超音波検査 腫瘤を形成する乳がんや良性疾患の鑑別 2回/年
婦人科受診 経膣超音波検査 卵巣や子宮内膜の形態的変化の早期発見 2回/年
乳房MRI検査 造影される微小な病変の早期発見 MR-PETと同日
全身MR-PET検査 全身のPET検査と乳房造影MRIを組み合わせた検査 1回/年

遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC) 参考サイト

一般社団法人 日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構(JOHBOC)
サイト下部に患者さんのためのパンフレットが掲載されています。ダウンロードも可能です

外来相談日

第2・第4月曜日 14:00-17:00(完全予約制)

ご予約・お問い合わせ

相良病院 3F外来

099-210-7821

受付時間:月~金曜 10:00~16:00


相良病院
〒892-0833  鹿児島市松原町3-31
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〒892-0838  鹿児島市新屋敷町26-13
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外来予約センター

Tel.099-224-0489 

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