当院では、簡便でありながら、高い整容性を保つことのできるSuture Scaffold 法という再建法を乳房温存術に取り入れています。
国内外において、まだ実施している施設が少ない再建法であることから、421例を対象とした患者満足度調査を実施しました。

当研究により、乳房温存術後にSuture Scaffold法を受けた患者さんは、乳房形成術を行ってない患者さんよりも満足度が高く、また、Suture Scaffold法は乳腺フラップ法(乳房形成術の一種)よりも出血量が少ないということも分かりました。
Suture Scaffold法は患者さんの満足度も高く、合併症も少ないため、乳腺外科医が乳房形成術の選択肢の一つとして習得すべきオンコプラスティック手技です。

Annals of Surgical Oncology掲載

-  論文抄録  -
背景
乳房温存術(BCS)後に良い整容性を得ることは、患者の満足度を向上させる。Suture Scaffold法(SST)は,形成外科のトレーニングを受けていなくても,すべての乳腺外科医が実施可能な乳房再建術である。

目的
SST、乳腺フラップ法(BGFT)、乳房形成術なし(NOT)の間で、BCS後の患者満足度、出血量と手術時間を比較することを目的とした。

方法
本研究は前向き、単施設、横断的研究である。2017年8月から2019年9月までに当院でBCSを施行した全患者を対象とし,cT3腫瘍の患者,乳頭切除術や両側乳房手術を受けた患者を除外した。患者満足度のスコアとしてメモリアルスローンキャタリングがんセンターが開発したBREAST-Qを使用した。

結果
全体で421名の対象患者を確認した。NOTは47名(11.1%),BGFTは231名(54.8%),SSTは143名(33.9%)に行われていた。多変量モデルでは、SSTはNOTよりもBREAST-Qスコアが有意に高く、BGFT と同等であった。出血量はBGFTと比較してSSTで有意に少なく、手術時間は両手法で差がなかった。

結論
SSTの患者満足度はNOTよりも高く、BGFTと同程度であった。SSTはすべての乳腺外科医が実施可能な乳房形成術であり、乳房形成術を行っていない症例と比較し出血量と手術時間は増えなかった。


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